#39 帰路に(投稿作品/はるぺるさま)
トグサは最近不満だった。ここ一月、バトーは口づけしかしてこない。それも挨拶程度のもので、以前のように熱く絡み合うようなものではなかった。
「俺、何か旦那を怒らせるようなことしたっけな…。」
トグサは記憶を辿ってみるが思い当たる節はない。
最後に身体を交えたのはバトーの車の中だった。深夜過ぎ仕事を終えたトグサが帰宅しようと思い地下駐車場に降りたら、バトーがタバコを吹かしながらトグサの愛車にもたれ掛かるように立っていた。
「トグサ、ちょっと付き合えよ。」
「あぁ? 大先輩が若輩者の俺に何か相談事か?」
「…フッ そんなんじゃねぇよ…。」
バトーはトグサの腕を掴み、自分の愛車の助手席に乗せた。バトーは車のエンジンキーも回さず、暫く薄暗い駐車場を眺めていた。
「何かヘマでもやらかしたの?」
「…いや、ちょっとお前に用があってな…。」
そう言うとバトーはトグサの肩に腕を回し、そっと頬に口づけをした。トグサは目を閉じてバトーの鍛え上げられた身体に身を埋めた。
「いつもながら、突然だな…。」
トグサがそう呟くと、バトーは不適な笑みを浮かべながらトグサの唇を自信の唇で包み込んだ。互いの息も呑み込むように、二人は熱く、深く、舌を絡ませた。バトーはトグサのネクタイを緩め、シャツのボタンを乱暴に外していった。腹部から胸へ、バトーの太い指がトグサの身体を這う。トグサの胸の突起は既に堅くなっていて、バトーは親指でそれを弾いた。
「くはっ」
トグサは思わず声を上げ仰け反った。その瞬間、バトーがトグサの腰をぐっと引き寄せ、ベルトを外しスラックスごと下着を剥ぎ取った。
「旦那、ちょっとは優しくしてくれよ…。」
「いつも通り、優しくしてるじゃねぇか。」
バトーの手はトグサ自身をやわやわと撫で付け、感触を楽しんでいるようだった。だが次第に力がこもり、上下へと規則正しく動く。トグサはそれにつられるようにくぐもった声を上げる。身体から力が抜け、汗ばんでいくのが解る。息がどんどん荒くなる。堪えようとしていた声も、バトーの手の動きに合わせるかのように狭い車内に響く。
「んっ……うん…あぁ……。」
「イきたいか?……トグサ…。」
「だ、旦那……はやく…。」
バトーはトグサを膝の上に乗せて脚を開かせた。自信の物を取り出す間も、トグサへの動きは止まらない。
「そろそろか……。」
バトーはそう呟くと、トグサの入り口に自信の物を宛った。そしてゆっくりと中に入り込むと、トグサの腰を両腕で掴み突き立てた。最初は堅く閉ざされていたが、徐々にバトーを奥へと導く。トグサは絶頂が近いのか、荒く、浅く、息をしている。バトーは腰の動きに合わせてトグサ自身の先を親指でぐりぐりと刺激した。とたんにトグサは熱を放った。白濁した物がバトーの指を伝い落ちた。
「トグサ、俺も…もう…。」
バトーは快感に崩れ落ちそうになっているトグサの身体を抱え直すと、一気に突き上げた。トグサの嬉声はバトーの耳をくすぐり、一層バトーを刺激する。激しく目眩がしそうな律動の果てに、バトーもトグサの中に熱を放った。
いつもより早い時間に仕事を終えたトグサは地下駐車場に降り立ち、周りを見渡した。バトーの黄色い愛車がある。
「旦那、今日も遅いのかな…。」
トグサはあの夜の情事を思い出しながら、心のどこかでバトーを求めている自分を感じられずには居られなかった。自分の車に乗り込み、両手を頭の後ろに組むとシートに深くもたれかかった。目線はバトーの愛車に合わされていた。大きく深呼吸をしながらエレベーターの扉に目をやる。すると扉が開き見覚えのある大男が降りてきた。
「旦那ぁ〜。」
トグサは車のウィンドを下げながらバトーに声を掛けた。バトーは少し驚いた顔をしながら、軽く右手を挙げた。
「よぉ、どうした?」
「旦那、今晩、時間ある?」
「んー、少しくらいなら…。」
「ちょっと付き合ってくんない?」
「ああ、『ちょっと』だけな。」
そう言うとバトーはトグサの車に乗り込んだ。車は地下駐車場を出て新浜の中心部へと向かった。バトーは何も言わずくわえタバコで助手席から街並みを眺めていた。
「何だか旦那と呑みたいと思ってさ。」
「珍しいな、お前がそんな事を言うとは。」
「サウスティン・ホテル。あそこのバーなんてどう?」
「ふっ、あんなお高いところ…」
「あそこの夜景…綺麗だから…。」
「新浜の夜景なんざぁ、どこから観ても変わらねぇだろ?」
「……。あのさ……部屋も取って………」
バトーはタバコを落としそうになった。しかし、すぐにタバコをくわえ直すと意地の悪い笑みを浮かべた。少佐から暫く慎むようにと言われていたが、まさかトグサから誘ってくるとは。バトーは今晩久々に耳にするであろうトグサの甘い嬉声を想いながら、トグサの横顔を見つめていた。
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<投稿御礼>
この100題始まって初のまっとうなバトグサですよっ!!
しかもシリアス! ギャグオチなし!
これが正しいバトグササイトのあり方というものです!
・・なのに何でバトグササイトの2人で作っていながら、いままで1本もなかったんでしょう・・(汗)
それにしてもなんと美味しいところでっ!!
・・いえ、そりゃお題の通りといえばそうなんですが・・
それでも激しく続きが気になる小説をありがとうございます!!
ネットワークの意地悪のおかげで拝見するのにえらく時間がかかってしまった作品でしたが、毎日指を折りながら待っていた甲斐がありましたv
はるぺる様、本当に本当にありがとうございますーーー!!(そしていろいろとご心配やらご迷惑やらおかけ致しまして、すいませんでした・・orz)
(氷月)
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言うべきことはほとんど氷月が代弁してくれてますが、
アダルトな雰囲気がとても素敵でうっとりと拝読しましたー。
別のお題でもぜひ書いて頂きたいなと思ってみたり。
というか、この後の二人の熱いひとときが気になります!!
今回は本当にありがとうございました!
(伊藤)
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